人気ブログランキング | 話題のタグを見る
雑念系ブログ
heaven.exblog.jp
ただ風ばかり吹く日の雑念 心頭滅却すれば氷自ずから熱し
Top
家具作り
2005年 06月 20日 *
もう大分前になるが、8年間のサラリーマン生活を辞めて、家具屋をやろうと考えたことがある。きっかけは些細なことだった。雑誌に載っていたこんな記事。
イギリスのあるイラストレーター(有名とか売れっ子とかではないが、堅実な仕事をしているような)は、あまりモノを持たない主義だが、ただ一つ大切にしているのが、大きめ(直径2mくらい)のアンティークの円卓。食事も読書も仕事も、そのテーブルでする。
「この円卓は僕の爺さんからもらったものなんだ。僕の仕事は、描く場所さえあればどこでもできるんだけど、これじゃないと、どうもしっくりこないんだ」
その円卓は幸せだ。
かつてイギリスでオーク(楢)の家具がたくさん作られた時代がある。今のように合板なんかないから、全部ムクの木で造られている。「やっぱムクの家具だよな」と思ったのだが、さて、それじゃあ自分がムクの木の家具について、どれだけのことを知ってるか...........。




しかし本を読んだりして勉強するくらいでは、物足りない気がした。いっそのこと、そんな家具を作れるようになりたいと思った。職業訓練校の木工科に一年間通った。この学校は、それまで通ったことのあるどんな学校より楽しかった。道具が徐々に身体の延長として働くようになり、身体を使って(もちろんアタマも使うが)手で触ることができるモノを作るプロセスには、ある種の快感がある。卒業して山梨の田舎のぼろぼろの民家の廃屋を借り、無謀にもいきなり家具工房を開いた。..........と言っても作るのは主に学校で同級生だったすごく上手い男。私は主に営業(^^;;
全部一点ものの受注生産だから、安くはできない。なかなか売れなかった。親戚にほとんど無理矢理買ってもらった。4年くらい頑張ったが、身内への営業が一巡したところあたりでパッタリ受注できなくなった。
...........そんなわけで、今は全く別の仕事をしており、商売として家具を扱ってはいないのだが、工房はなんとか今も維持している。工作機械は動力200Vなので、使わなくても電気の基本料金が馬鹿にならない。けれど、時々行っては、自宅で使う家具をシコシコ作ったり、我流で楽器を作ろうとしてみたりしている。趣味としてはかなり大掛かりなのだが(なにせ、そこいらの建具屋に負けないくらいの機械を揃えちまっている)やらずに居られないようなところがある。

家具作り_a0006124_23114011.jpg卒業制作:「クイーン・アン」様式のライティングデスクのレプリカ(上2点)家具作り_a0006124_2312551.jpg
家具作り_a0006124_23145559.jpg家具作り_a0006124_2315675.jpg
ダブテイル(蟻組)のラック(下2点)
by heavier-than-air | 2005-06-20 23:26 | object *
<< 縁は異なもの ページトップ 腑に落ちる >>
The Original by Sun&Moon