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真夜中のギター
2005年 05月 10日 *
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また、ギターを買ってしまった(苦笑)。25年ものの中古アコースティック。といっても、ただ古いだけでヴィンテージとかではない。幼児が触ってボコボコにしても気にならず、ピッチさえしっかりしていれば多少鳴りは悪くてもいいや、と思ってYahooオークションで落としたのが意外にアタリだった。結構鳴るのだ。フレットはほとんど減ってないし、なかなか好いヤレ加減にエイジングしている。ピックガードを剥がしてみたら、作られた当時の色が出てきた(白い!)。
中古のギターといえば、印象に残っていることがある。

中学1年の頃、クラシックギターを習っていた。教えてもらったのは人見先生という女の先生だった。ちょっと変わった人で、当時未亡人だったが、亡くなった旦那は、彼女と同じコンクールに出てグランプリを取った人で、彼女はそのコンクールに出る時に、自分はこのコンクールで一等賞を取る人が男なら、その人と結婚しようと思ったのだという。人見徹。日本の近代クラシックギター史に残る人だが、後に飛行機事故で亡くなった。因みに、日本近代クラシックギター史には、深沢七郎などの名前もある。楢山節考で世に出る前に日劇ミュージックホールでギタリストをしていたり、破天荒な言動でふざけた印象があるけど、ちゃんとしたクラシックのギタリストだった。

さて、私が通っていたギター教室は大船観音と道を隔てた崖の上にあった。
生徒が使ってもよいレッスン用のギターが2〜3本用意されているのだが、その中に、手入れはされているものの、あまり弾かれていない感じのが1本あって、なんとなく気になって、ある時、それを手に取って爪弾いてみた。先生はその様子を黙って見ていたが、おもむろに「そのギター、気に入ったら持っていっていいわよ」と言う。明らかに自分のギターよりは高級な楽器だった。
「え、ほんとですか?」
「いいわよ、だけど.........それ、夜中に鳴るのよ、ひとりでに」
「...........」



それは、とても熱心な、ある生徒さんのギターだった。ギターが好きで好きで、でも癌かなにかで亡くなる前に、もし自分が死んだら先生に持っていてほしい、と預けた。
深夜、ポロン、ポロンと鳴るギター。
その話を聞いたときは、反射的に怖くなって、もらわなかったが、今は「もらっておけばよかったかな」と少し思う。

人が死ぬ時、この世に未練を残すことは良くないとされる。成仏しないということだからだ。
けれども、こういう場合は恨みつらみを残すわけではない。残っているのは音楽を奏でたいという純粋な思いだ。
替わりに弾いてあげれば供養にもなるかもしれないし、思いが満たされれば、ひとりでに鳴ることもなくなるのではないか、と思ったりもする。死んでも弾きたいほどの思いというのは、転生後の次の人生を決める力になるのでは、とも思える。

ずっと後になって、仕事で仏文学者のI.H先生を訪ねたことがあった。心霊研究家でもあった先生の家で、驚嘆すべき心霊写真の数々を見せてもらった時に、先生が仰っていたことも印象的だった。
ご家族だったか、愛弟子だったか記憶が定かではないが、やはりピアノが大好きな人が亡くなったあと、H家のピアノは夜中に曲を奏でたのだそうだ。でもH先生は、そんなことは当然だというふうに楽しげに話しておられた。49日経つと、それは止んだという。
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 Head部分はお子ちゃま用シールコーナー。貼るのはいいが一応父ちゃんに選ばせてくれ。
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by heavier-than-air | 2005-05-10 01:42 | music *
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